中央線鉄道唱歌の歌詞(御嶽山、御嶽信仰など)について、鉄道に詳しくない方にもわかりやすく解説してゆきます!
まずは原文から!
天そゝり立つ御嶽や
登山の男女群がりて
夏は賑はふ雲の嶺
さらに読みやすく!
天そそり立つ 御嶽や
登山の男女 群がりて
夏は賑わう 雲の嶺
さあ、歌ってみよう!
♪てんそそりだつー おんたけやー
♪とざんのなんにょ むらがりてー
♪なーつはにぎはう くものみねー
塩尻駅→洗馬駅→贄川駅→奈良井駅→藪原駅→宮ノ越駅→木曽福島駅→上松駅→須原駅→野尻駅→南木曽駅→坂下駅→中津川駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
窓の右側にくる、御嶽山
木曽福島駅(きそふくしまえき、長野県木曽郡木曽町)を出ると、窓の右後ろ側に、晴れた日には本当に少しだけ、遥か遠くに、まるで富士山のように綺麗で、とても大きな山が見える区間があります。
この山を、御嶽山(おんたけさん)といいます。

御嶽山。木曽福島駅を出ると、窓の右後ろ側の遥か遠くに確認できる(長野県)
この区間は、王滝川(おうたきがわ)と木曽川が合流するポイントになります。
また、そこに木曽ダムがあるため、それが目印だと思って、木曽福島駅を出た後に、晴れた日には窓の右後ろ側にぜひ注目してみましょう。
日本第14位の高さ・御嶽山
御嶽山(おんたけさん)は、標高3,067mからなる、日本の西に位置する山としては相当高い山であり、日本第14位の高い山になります。
標高3,000m越え最西端の山・御嶽山
また御嶽山は、標高3,000mを越える山としては、日本で最も西に存在する山になります。
つまり、逆をいえば御嶽山よりも西側には、日本に3,000mを越える山は存在しない、という意味になります。
御嶽山は、独立峰の中では日本で2番目に高い
そして御嶽山は、どの山脈やアルプスにも所属していない、単独で存在する独立峰(どくりつほう)になります。
簡単にいえば、富士山のように逆お椀型の山がドッシリ居座っているイメージです。
独立峰としては、日本では富士山に次いで2番目に高い山となります。
ちなみにそれ以外の、日本の3,000m級の高い山々は、だいたいが
- 北アルプス(飛騨山脈)
- 中央アルプス(木曽山脈)
- 南アルプス(赤石山脈)
に所属している山となります。
つまり、富士山と御嶽山は、上記三大アルプスに属さない単独の山(独立峰)としては、突出して高い山ということになります。
歌詞「信飛二州」とは
歌詞にある信飛二州(しんびにしゅう)とは、
- 信濃国(しなののくに:長野県)
- 飛騨国(ひだのくに:岐阜県北部)
の二国のことをいいます。
信濃国(しなののくに)とは、現在の長野県のことをいいます。
飛騨国(ひだのくに)とは、現在の岐阜県の北部の地域にあたります。
- 岐阜県北部:飛騨国(ひだのくに)
- 岐阜県南部:美濃国(みののくに)
御嶽山は、岐阜県の高山市(たかやまし)や下呂市(げろし)にも跨(また)がっています。
これが「飛騨国にも跨がっている」という意味になります。
「神様の宿る山」として、信仰・修行に使われてきた御嶽山
山に神様が宿る「御嶽信仰」
御嶽山は古くから「神様の宿る山」とされてきており、御嶽信仰(おんたけしんこう)といって古くから崇拝されてきました。
昔は、とても大きく美しい山には神様がいると信じられてきました。
これを「山岳信仰」といいます。
もちろん富士山も、その例外ではありません。
山で修行する「修験道」
また、仏教の「山に籠もって修行する」という教えと(神道の)山岳信仰は相性が良かったのでした。
そのため、しばしば「修験道」として、山での修行の場として(悟りを開いて幸せになるために)それが行われてきました。
これは「神仏習合」といって、神道と仏教が混じり合う考え方です。
2014年の御嶽山大噴火
御嶽山は、2014年に大噴火を起こしたことで知られます。
御嶽山の噴火では、残念ながら57人の死亡が確認され、戦後最悪の事故となりました。
その死因のほとんどは、火山の噴火による隕石が、体に直撃した(ぶつかった)ことによるものでした。
噴煙がすごすぎて、はるか東・群馬県まで届いた!?
また、御嶽山の噴火は、遠く
- 長野県・軽井沢(かるいざわ)
- 群馬県・前橋(まえばし)
まで届いたともいいます。
風に乗って、はるばる東へと届いたんでしょうね・・・。
御嶽山のパワー、恐るべしです。
歌詞の意味も確認
歌詞では、
夏になると(御嶽山の)雲の上は、
登山客のみんなで賑わうのだ
とありますね。
こうすると、鉄道唱歌の明治時代から、夏は登山客で賑わっていたことがわかります。
それどころか、先ほど述べたように「修験道」「御嶽信仰」の時代から、御嶽山と人々の歴史的なつながりは深かったことがわかります。
それだけ、御嶽山は特にこの地域の文化や観光にも欠かせないものとなっていたのでしょう。
次は、木曽五木(きそごぼく)の話題となります!
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